2022/01/07
人は10代前に祖先を遡ると1024人の男女に辿り着くがいる。
30代遡ると10億人を越え、間を足すと約20億人。
喜多川泰著のきみが来た場所の中の話。
その頃はだいたい平安時代で、日本の推定人口は約600万人。
それだけの人数しかいないということは相当の重複があるからそうなるわけだが。
とにかく間の一人でも欠けたら今の自分ではなかったのは事実。
自分が生まれた時、そしてその前の父母、祖父母はどんな生き方や想いがあったのか。
主人公はあるきっかけで父母祖父母の過去を疑似体験して向き合うという話。
親は常に子に生き方を教えられる。そんなことを感じた。
読みながら自分の父方の祖父のことを思い出した。
私が幼少のころの祖父は読書家で、町議会議員から商工会長であり、子供の頃はすごい祖父だと思っていた。しかし、晩年はアル中からの病気発症で寝たきり状態から悲惨な最後の姿だった。
私が思春期の頃はあんなに嫌いだった父親の真似をして祖父を罵っていたことを申し訳なく思う。祖父は言い返すことはなかった。人格者だったと思う。
少なくとも私が読書をするのも、人前で話したいと思うのも祖父の遺伝的影響が大きいだろう。(今思うと父親と祖父とは色々と正反対だった。)
だから、父方の祖父は晩年にかけていろんな人に迷惑をかけた生き方だったかもしれないが、今となって私は尊敬しているのだ。
ちなみに両親も母方の祖父母もまったく本を読まない人だった。
本を読む人と読まない人では大きく人生は違うと思っている。
あの頃の読書家だった祖父がどんな想いだったのだろうか。
この本の主人公のようなことがあるなら話をしてみたいものだ。
ありがとう。おじいちゃん。
したっけの
※この本は『母さんのコロッケ 懸命に命をつなぐ、ひとつの家族の物語』に書き下ろしの短編を加えた新装版ですので買う時は気をつけてください。